| 
        米で炊いた白粥は消化が良いため病人食、離乳食、老人食として用いられることが多い。
        奈良では煎茶か番茶を加えた茶粥を朝食に食べる習慣があり、奈良粥として名高い。
        
          1月7日の七草粥などは行事食として全国に根づいている。
        歴史
        
          古くは、蒸した米を飯(いい)と呼び、現在のごはんは固粥、粥を汁粥といった。
          食料の乏(とぼ)しい時代にはダイコン、サツマイモ、サトイモ、トチの実などを入れてかさを増やして飢えをしのぎ、アワ、ヒエ、ムギなどの粥もつくった。
          芥川龍之介の「芋粥」(1916(大正5))に出てくる粥は、ヤマイモを甘葛(あまずら)の汁で炊いた平安時代のもので、今の粥とは異なる。
        行事食としての粥
        
          1月7日に無病息災を願って作る七草粥は、春の七草のセリ、ナズナ、ゴギョウ、ハコベラ、ホトケノザ、スズナ(カブ)、スズシロ(ダイコン)の7種を入れて炊く。
          古くは小正月の1月15日に7種類の穀類を入れた粥が作られていたが、平安時代に若菜を入れた粥を正月上旬の子(ね)の日に食べた行事と同化し、7日に七草粥、15日には小豆(あずき)粥を食べる風習ができたといわれる。
          最近は七草粥の材料が手に入りにくくなり、7種類の野菜か、何種類かの若菜を入れればよいとされる。
          また、15日には粥占(かゆうら)が各地の神社で行われ、その年の作柄の吉凶を占う。
        粥の形態
        
          粥は米と水の重量の割合で呼び名が変わる。
          
            全粥
            
            重湯(おもゆ)
            
              1対10〜11で炊き、糊(のり)状の汁だけを漉し取ったもの。
            七分粥(ななぶがゆ)
            
            五分粥
            三分粥
            おまじり
            
          世界の粥
        
          東アジアや東南アジアなどの稲作文化圏でも粥は食べられるが、とくに中国ではお粥の専門店があるほどで、鶏肉、ひき肉、海の幸、野菜、牛乳などを入れたボリュームのあるものが多い。
          日本の病人向けというイメージとは異なり、健康に良い食べ物として朝食に、ファーストフードにと積極的に食べられている。
        作り方
        
          米を洗って水を加える。
          30分から1時間おいて吸水させ、中火にかける。
          沸騰したら弱火にして1時間くらい炊く。
          途中で混ぜると粘りがでるため、混ぜないようにする。
          鍋は土鍋か行平(雪平:ゆきひら)などの厚手のものがよいという。
         |