かんざし
  • 髪飾具の一種。
  • 上代には、花枝や葉、造花などを冠や髪にさして飾りとし、これを髻華(うず)または挿頭(かざし)と呼んでいた。
    • このカミサシ(髪挿しあるいは挿頭)が変化して簪になったとされる。
    • また、男子の冠を固定するための簪(角(つの)ともいう)や女房装束(しょうぞく)の際の平額(ひらびたい)(額の髪飾具)をとめる釵子(さいし)なども初期の簪の範疇(はんちゅう)に入る。
  • 一般に髪飾具は髪を結(ゆ)うときに必要とされるが、簪の場合は髪をすく、かきあげるといった動的な目的をもつ(こうがい)にくらべると、結髪への依存度が高い。
    • したがって、唐風の結髪を真似ていた奈良時代には内親王(ないしんのう)や女官(じょかん・にょかん)などの礼装時の宝髻(ほうけい)(唐風の髪形)などに簪が多用されたが、平安時代になって髪を後ろにたらした垂髪(すいはつ)が主流になると、室町時代末期ころまでは簪が用いられる機会はほとんどなくなった。
  • 江戸時代に入ると、男性の若衆髷(わかしゅまげ)などの影響を受けて女性の結髪が広まり、髷の多様化につれて髪飾りとしての簪が重要な位置を占めるようになっていく。
    • 上代の髪挿しが1本の細い棒をさす形式であったのに対し、江戸時代の簪は髪の乱れをととのえる髪掻(かみがき)から発した笄(こうがい)が原型で、先端に耳かきをつけ、胴を2本とした点に特色があった。
    • 櫛と同様、江戸時代には実用性よりも装飾のための用具として発展し、髪飾りの中でももっとも華やかな存在となった。
    • 松葉の形を模倣した松葉簪、玉をかざった玉簪、金属製で毛彫などをほどこした平打簪、金銀の花枝に色紙短冊をつけた花簪、髷の下をとおして左右の飾りとした両天簪、様々な意匠を凝らした変わり簪などの種類がある。
  • 元禄時代(1688〜1704)(江戸時代前期)を過ぎた頃から、うちわ形や一扇面を装飾した金銀製の簪が盛んに使われるようになる。
    • 次いで花簪が流行したが、1744年(延享元)(江戸時代中期)奢侈禁令(しゃしきんれい)で金銀製の櫛や簪が禁制となり、象牙鼈甲(べっこう)(すず)製が主流となる。
    • 寛延(1748〜51)以後、再び金銀製の簪が復活し、寛政年間(1789〜1801)には「びらびら簪」が流行した。
      • びらびら簪は花簪の一種で、花の折枝などの先に細い鎖を数条さげ、その端に鳥や蝶の形または鈴などをつけた金銀製の簪。
      • 人の動きにつれて、ぴらぴら(びらびら)と動くところから「歩揺(びらびら)」の字を当ててこう呼ばれる。
    • 装飾的で華やかな簪として、文政年間(1818〜30)(江戸時代後期)以降まで若い女性の人気を博した。
  • 参考:エンカルタ2007
関連HP
かんざし屋の(有)山口
かんざし屋「wargo(ワーゴ)
櫛かんざし美術館(東京都青梅市)

2005/11/20
2011.10.25

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